愛妻は猫のようであり 亭主は、犬のようなものである。
最近、愛妻は猫の生まれ変わりではないかと訝っている。いや、愛妻は猫である。いないと思った部屋から突然現れたり、さっきまでいたのに、いつの間にか出掛けているなど、実に神出鬼没である。何を考えているのかさっぱりわからないし、第一、私の言うことを聞いた試しがない(笑)。 しかも自分の機嫌が良い時だけはベタベタと甘えてくる節があるが、気に入らないことがある時は突然、プイと横を向く。いつ、どこで、何をしているかを言わないし、何の連絡もなしに夜遅くまで帰ってこなかったりする。 愛妻が打ちひしがれている時、愛おしくなって抱きしめようとするが、そんな時は爪を立てられるから、私の手はいつも引っ掻き傷だらけである。摩訶不思議な振る舞いにいつも付き合わされていると、こちらは必然的に犬のようになる。「ハイ、奥様のおっしゃる通りです」「ご無理ごもっともです」と、まるで忠犬ハチ公状態である。 だが、最近感じている。夫婦というものは、愛妻が猫で、亭主が犬、これが一番うまくいくケースではなかろうか。幾つになっても自由気ままな振る舞いが似合う猫のような妻と、それを喜びとして見守る犬のような亭主。その逆では洒落にもなるまい。 だが、愛妻が唯一、猫と違うのは、しゃべる、しゃべる。ばかりか、私を叱る、叱る。しかも、指摘されることのほとんど当たっていて、そのたびに心臓を鷲掴みにされ、しばらく立ち直れないほどなのだ。
そして最近、真実が判明した。朝、早く起きて、見るともなく寝顔を見ていてふと気付いたのだ。猫だと思っていたその顔は、紛れもなくライオンそのものであった。布団がずれていたので掛けてあげようとしたら、私のジャージを履いて寝ており、ドアを閉めようとしたら、「ブッ」と大きなオナラで見送られたのだ。どうりで吠えられたら身が縮むはずである。 全亭協の会員諸君。妻は猫からライオンに進化するらしいのだ。くれぐれもご自愛召されい。
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